久米島民の暮らしを伝える花城家
竣工年 | 1897年 |
移築前所在地 | 久米島仲里村 |

歴史や背景
花城家は1897年に久米島仲里村に立てられ、1983年に琉球村へ移築されました。
久米島は沖縄本島と比べて樹木などの材料が少ないため、建物の壁には石灰岩や漆喰など、木材以外の材料が使われているのが特徴です。
少し小ぶりであることも特徴の一つであり、久米島の一般民家の構造をよく伝えている民家といえます。
注目ポイント
二棟造
花城家は母屋とアサギという二棟が隣接している家屋です。
建築技術の未発達や経済的な理由で大規模な建築ができなかったと考えられています。

ひんぷん
ひんぷんとは沖縄に古くから伝わる建築様式のことであり、表から建物の内側が直接見えないように作られた目かくし塀です。
屋敷の内と外の仕切りの役目を持ちます。
かつての沖縄では、魔物は角を曲がることができず、直進しかできないと信じられており、外から魔物が入ってくるのを防ぐおまじないの意味も持っていました。

琉球村で体験できること

旧花城家では琉球びんがたや琉装の展示を行っております。
琉球びんがたの制作工程や歴史を知っていると、より深く琉球を感じることができます。
琉球びんがたとは
琉球びんがたとは、鮮烈な色彩と素朴な線が特徴的な染色技法であり、沖縄を代表する伝統工芸です。
琉球王国の大交易時代に、中国と中継貿易を行うなかでさまざまな国の交易品から影響を受け、独自の発展を遂げました。
主に赤・黄・青・緑・紫を基調としている「紅型」と藍色の濃淡で色づける「藍型」があります。
モチーフとして描かれているのは、どうぶつや自然、建物などさまざまです。東アジアの文化の枠を超えたチャンプルー文化を表しています。

琉装とは
琉球王国時代に生まれた沖縄の伝統衣装です。
日本や中国などのアジア諸国から影響は受けているものの、腰の辺りを締め付けないゆったりとしたフォルムで、風通しが良く、沖縄の気候や文化に合わせて着用されています。
琉球王国時代はおめでたい祝いの席で着用する習わしがあり、現在でも結婚式や成人式などハレの日に着用する人が多くいます。
16世紀の琉球王国では身分制度が存在し、現在に伝わる琉装は王族や貴族など身分の高い人のみ着ることが許されていました。
