photo: 関 康隆 Yasutaka Seki
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「芋ぬ時代」は、作詞 浦崎芳子、作曲普久原恒男により1987年に発表された沖縄新民謡のヒット曲。作詞の浦崎芳子は1924年伊江島生まれで、辛い戦争の時代を体験した。父母は、雨の日も風の日も、真夏の太陽が照りつける暑い日も、クバ傘をかぶり、はだしで働きづめの日々であったという。戦中戦後、わずかな芋を食べ命をつなぐという、大変に苦しい時代を生きてきた。戦後沖縄の人々は、苦境から立ち上がり、この島を再興すべく必死に生抜いてきたのだ。
今日の沖縄の豊かさは、親祖先や大自然の営みによってもたらされたもの。「芋ぬ時代」は、親、先人への感謝の思いや恒久平和の願いを未来に繋ぐ、教訓歌なのです。
歌詞の大意は以下。
お母さんが朝早く起きて、芋を煮て子ども達に食べさせる。出来立ての美味しい芋を、子ども達はフーフーとほおばり、喉の詰まらせるほど慌てて食べる。食卓には笑がこぼれる。芋は、父母が暑い日も寒い日も休まず働いてもたらしてくれたもの。時が経った今でも思い出す芋の味。「お腹を一杯にして元気をつければ頑張れる」と親が言って聞かせて食べさせてくれた、あの芋の味を。
命を繋いでくれた親の情け、恩義は絶対に忘れてはいけない。それを受け継いで子々孫々に伝えなければ。
平和で豊かな時代の今だからこそ、「芋ぬ時代」の歌詞の意味や歌に込められた祈りをしっかりと理解し、歌い踊り、未来に伝承していきたい。
作詞:浦崎芳子 作曲:普久原 恒男
※歌は5番まで 1番、4番歌詞抜粋掲載
1)夜明き白々 暁(あかとぅんち)鶏ぬ唄いる声聞きば 我ったーアンマー ちがきみそーち シンメー鍋に 芋煮みそーち 子ぬ達朝ぬ 目クファヤー
【訳】夜が明けて白々明るみはじめる暁。鶏の鳴く声が聞こえたら、私たちの母はがんばって朝食の支度に起きて、シンメー鍋で芋を煮てくださっている。子供たちのお目覚めだ
4)クバ傘かんとてぃ 夏ぬ日ん 冬ぬ寒さる 雨ぬ日ん 物ーちゅふぁーら 腹 一 杯食でぃ くんち付きやい うみはまりんでぃち 親ぬかまちゃる 芋ぬ味
【訳】クバ笠をかぶった夏の日も、冬の寒い雨の日も、「食べ物をたくさんお腹一杯食べて、元気(根性)をつけて仕事に励めよ」と言って聴かせて、親が食べさせてくれる芋の味