photo: 関 康隆 Yasutaka Seki
Photography
facebook page https://www.facebook.com/y.seki.photo
Website http://yasutakaseki.com
沖縄県民にとって「勇気を与えてくれる歌」として親しまれている「ひやみかち節」。この歌には、戦後復興にかける2人の偉大な先人たちの想いが込められている。歌詞の一番を作詞したのは、平良新助(1876年~1970年)氏。
沖縄県民のハワイへの移民を初期からサポートし、多くの困難を乗り越え、移民を定着させた海外移民とウチナーネットワークの基礎を築いた功労者のひとり。
その後アメリカ本国に渡りホテル経営等で成功を収めるが、戦後52年のアメリカでの移民生活に別れを告げ帰郷。しかし、終戦直後の沖縄は憔悴しきっていた。そこで平良氏は戦争で荒廃した郷土と県民を鼓舞する為に琉歌を読んだ。
それがひやみかち節の1番の歌詞、「七転び転でヒヤミカチ起きてわしたこの沖縄世界に知らさ」である。
その琉歌に曲をつけたのが、東京音楽学校で講師をしていた山内盛彬(1890年~1986年)氏。
琉球古典音楽を後世に伝承するため、丁寧に採譜し古典の楽譜である工工四を五線譜に起こした。また、ニューヨークやブラジル、ボリビア、ハワイなどへ赴き沖縄音楽の普及に貢献、尽力した。
沖縄へ帰郷した1948年、58歳の時に「ひやみかち節」の作曲を依頼され、メロディーとともに2番以降の歌詞を山内氏が制作し付け加えた。3番の歌詞「我身や 虎だいもの羽付けて給ぶれ 波路パシフィック渡て見やべら」には、両氏の生き様と未来の沖縄へのエールが込められているように感じられる。
開村35周年を迎えた琉球村では、この想いを未来に繋げるべく「ひやみかち節」を歌い継いでいる。ぜひ生で体感してください。未来へひやみかせ!!
作詞:平良 新助 作曲:山内盛彬
1)七転び転で ヒヤミカチ起きて わしたこの沖縄 世界に知らさ
【訳】たくさん転んでも、ヒヤッと立ち上がり、私達この沖縄を、世界に知らしめよう!
2)花や咲き美さ 音楽や鳴り美さ 聴かさなや世界に 音楽の手並
【訳】花が美しく咲くように、美しい音楽が鳴る。聴かせよう世界に、鮮やかな音楽を!!
3)我身や 虎だいもの 羽付けて給ぶれ 波路パシフィック 渡て見やべら
【訳】私は虎、羽を付けてください。そうしたら、波路を越えて太平洋を渡ってみせます。