photo: 関 康隆 Yasutaka Seki
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②と③の写真は写真家 ジャン松元提供
ゆったりとしたリズム、美しいメロディーと言葉の響き。多くの人から愛されている八重山民謡の名曲「月ぬ美しゃ」。八重山では昼の子守唄として「あがろうざ」、夜の子守歌として「月ぬ美しゃ」が歌われてきた。「あがろうざ」は教訓的な内容が盛り込まれているのに対し、「月ぬ美しゃ」は、月を愛で恋を謳歌する歌となっているからだと思われる。「月ぬ美しゃ」は、「ちょうが節」とも呼ばれる。その美しいメロディーは、波照間島で世果報(世の幸せ、豊年の願いが込められた言葉)を祈願して歌われた「波照間ぬみんぴぃが(ちょうが節)」が原型となったと言われている。歌の3番まで、4番、5番以降と3つのパターンに別れ曲調も長さも変化、展開していく。月を題材にした歌は数々あるが、その多くは満月を歌っており、十三夜の月が歌われるのは珍しい。日本では、旧暦8月15日だけでなく、旧暦9月13日にも月見をする習慣がある。9月の十三夜は「女名月」とも呼び,古い時代の収穫祭のなごりが見られる。人頭税や明和大津波など過酷な歴史を経験してきた八重山の民が、満月に向かっていく十三夜の月に、明日への希望と、五穀豊穣を願ったのかもしれない。戦後間もない1947年、八重山の歌のまつり「とぅばらーま大会」がスタート。「月ぬ美しゃ」の歌詞に由来し、毎年旧暦8月の十三夜に開催される。2018年の旧暦8月13日は9月22日、そして旧暦9月13日は、10月21日。今年は、名月を愛でながら世果報を祈りたい。
八重山民謡
1)月ぬ美しゃ十日三日 女童美しゃ十七つ ホーイチョーガ……
【訳】月が美しいのは十三夜 乙女が美しいのは十七歳
2)東から上りおる大月ぬ夜 沖縄ん八重山ん照ぃらしょうり
【訳】東から上がる満月の夜 沖縄本島も八重山もお照らしください
3)あんだぎなーぬ月ぬ夜 我がげら遊びょうら
【訳】あんなに美しい月の夜 私たちも宴をひらき遊びましょう
4)寺ぬ大札んが 絹花黄金花 咲かりょうり
【訳】寺の大札に美しい絹の様な花、黄金の様な立派な花を咲かせてください
5)ぴらまぬ家ぬ東んたんが むりく花ぬ咲かりょうり うり取る彼り取るなつぃきばし びらまぬ 家ぬ花ぶんなー
【訳】愛しいあなたの家の東の方にジャスミンの花を咲かせてください。それを取りあれを取るふりをして……愛しいあなたの家は花盛り