photo: 関 康隆 Yasutaka Seki
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「国頭さばくい」は、沖縄を代表する労働歌のひとつで、木を伐採、運搬する時に歌われた木遣り歌。沖縄県国頭郡国頭村奥間には、「国頭さばくい」の歌碑があり、その由来が記されている。
琉球王朝時代、首里城 王殿の改修の際、本島北部国頭地方の山々から建築用材を伐り出して王府へ献上した。与那覇岳、長尾山一帯から伐り出された材木は、比地川、奥間川を下り鏡地原の浜から海を渡り泊の港へ陸あげされ、首里へと運ばれた。その木遣りを歌ったのが「国頭さばくい」。大勢で音頭を取りながら心をひとつにして歌われた。歌詞は国王の御代万歳をたたえている。このしぐさは当奥間区に民俗芸能として保存されている。 なお、さばくい(捌理、捌吏と記す)とは各間切にいた幹部役人の総称で、材木の検査ならびに運搬の指揮にもあたった。この歌の囃子は独特で、その一部は「笑い」を表現。過酷な労働の際、声を合わせて歌い、苦しさを紛らわした。
「国頭さばくい」には、「奥間の国頭捌吏」という本歌がある。「国頭捌吏 酒飲み捌吏、国頭山から出じたる御材木、北の御殿の御材木だやびる(中略)美童 若者 肝てぃーちあわしば、肝一つ合わせしば片時どや」。
本歌には、王を讃える内容は無く、役人を「酒飲み」と揶揄しているところも面白い。労働者によって歌われ、伝わった木遣り歌らしい民の歌である。それが、口承で伝播する過程で歌詞も変化し舞台芸能として多様な発展を遂げ、現代に伝わっているのである。
沖縄民謡
1)首里天加那志ぬ ヨイシーヨイシー 御材木だやびる ハイユエー ハーラーラ サーハリガヨイシー サーイショショショーショ イーイヒヒヒーヒ アーアハハハーハ
【訳】首里王様の御材木です
2)国頭サバクイ ヨイシーヨイシー 御嶽ぬ前から ハイユエー ハーラーラ サーハリガヨイシー サーイショショショーショ イーイヒヒヒーヒ アーアハハハーハ
【訳】国頭村役人の指示で 御嶽の前から
3)名護山かしじゃ ヨイシーヨイシー 重さぬ引からん ハイユエー ハーラーラ サーハリガヨイシー サーイショショショーショ イーイヒヒヒーヒ アーアハハハーハ
【訳】名護山の樫の木は重たくて引けぬ
4)御万人 間切や ヨイシーヨイシー 皆肝揃とてぃ ハイユエー ハーラーラ サーハリガヨイシー サーイショショショーショ イーイヒヒヒーヒ アーアハハハーハ
【訳】万人の間切よ みな心をそろえて