photo: 関 康隆 Yasutaka Seki
Photography
facebook page https://www.facebook.com/y.seki.photo
Website http://yasutakaseki.com
「石くびり」は、唄者の石原節子によって1959年にレコーディングされ発売と同時にヒットした沖縄民謡の人気曲。「石くびり」とは、「石ころ道の坂」の意味。本部町伊野波の村落の東の小高い丘にある。この小道を舞台にした古のロマンスは、琉球古典舞踊「伊野波(ヌハ)節」として描かれ、さらに民謡「石くびり」となり、現在に伝えられている。「伊野波節」の歌詞と訳。
伊野波ぬ石くびり 無蔵連りてぃ登る
なふぃん石くびり 遠さはあらな
【訳】伊野波の石ころ道の坂は、難儀な道だけど、愛する人と連れだってお互いに語り合いながら行くときは、もっともっと長く続く道であってほしい。
伊野波に生まれた男性と伊豆味生まれの女性とは相思相愛の仲。ふたりは、石くびりまでやってくる。鬱蒼としたその小道は、幅も三尺足らずで小石まじりの急な坂で人目を気にしないでいられる格好の場所。互いに熱い思いを語り合いながら歩きます。しかし石くびりをすぎると、村人の目も気にしなければならず、やがて別れなければならない。「こんな険しい道が、もっともっと長く遠く続いてればいいのに」。そんなふたりの恋する気持ちと別れの切なさを詠んだのが「伊野波節」であり、それをモチーフに歌われたのが民謡「石くびり」である。
伊野波集落の「石くびり」は、現在も昔の面影をとどめており、「伊野波節」の歌碑がある。また、本部八重岳桜まつりでは、「石くびり大会」(のど自慢大会)も開催されている。
作詞:大浜方叶 作曲:石原節子
1)恋路ちりなさや ままならん 世間に無蔵が 優言葉ぬ 肝に掛てぃ
【訳】恋路のつれなさは、思う様には行かない、世間に(妨げられてまでも)、あなたの優しい言葉が、心に残る
2)忘らていやしが 肝に思染みてぃ 思切りんならん 我肝病むさ
【訳】忘れようとしたが、心に思いが染まり、思い切ることもできない、私の心は痛むだけです
3)無蔵が顔見りば 恋しさや勝てぃ 焦がりゆる肝や 誰に呉ゆが
【訳】貴女の顔を見れば、恋しさ(想い)は増すばかり。この恋焦がれる想いを、誰にうちあけたらいいのか
4)村ぬ石小坂 我一人どぅ行じゃる 互にかながなとぅ 登てぃみぶしゃ
【訳】村の中の石坂道を、私ひとりで登って行く。互いに思いを寄せながら(愛を感じながら)、登ってみたいものだ